ペアーズで人生二人目の彼女ができた話④
翌日、クリスマスの朝。漫画喫茶で目覚める。真っ暗だ。今年も俺のサンタクロースはいない。
そういや今日も昼から会うのだった。妹と…。
「何やってんだろ?」って思いながら漫画喫茶を出て電車に乗り込む。
泥のように寝てたはずなのにまだ寝足りない。電車の中でも爆睡。
家に帰って風呂に入りまたワックスをつけて(ちなみ30年以上ワックスを全く使ってきませんでした笑)、また電車に乗ってリターン。妹に会いに。
「何やってんだろ?」気が重い。ていうかこれってガッツリ「非モテコミット」じゃないのか…。
待ち合わせ場所で800に会う。いつもと変わらない、でもやっぱり少しだけ気まずそうな表情。でも相性がいいので話し始めるとなんだかんだ自然な空気に。やっぱこの子が好きだわ。
昨夜のことが無かったかのように楽しくランチを食べて、手を繋いで街を歩く。どうみても恋人じゃないか…。なんで「兄妹の関係」なんていうバリアを貼られたんだ。
やっぱりちゃんと話さないといけない。でも触れてしまうとこの楽しい時間は粉々に吹っ飛んでしまうかも知れない。怖い。震える。
ずっと「失敗は悪だ」と言われて育ってきた。そのせいか、失敗に怯えて何もできない臆病者の非モテになってしまった。
父親に何か教えてもらうとき、いつも失敗するたびに怒られた。「言う通りにやらないからだ。俺の言う通りにやれば失敗なんて絶対しないんだ。」気づけは何もやらなくなっていた。やったら失敗する。失敗したら怒られる。ならやらない方がましだ。
人に教える経験をして思う。父は人間としては立派な人だったかもしれないが、教育者としては最低だった。人と機械の違いは、失敗するかしないかだ。個性とはその人の失敗の集積だ。失敗の数だけ個性豊かな人間になれる。
失敗は銀のエンジェルだ。それ一つだけでは何の価値も持たないが、たくさん集めると金のエンジェル(=成功)と同じ価値を持ち、宝物と交換してもらえる。
ただし、行動をしなければ金のエンジェルも銀のエンジェルも貰えない。一生成功に近づくことはない。怖くても進むんだ、俺。
「あのさ、昨日の話なんだけど。」
「何?」
空気が変わる
「やっぱり、俺は800のことが好きだ。妹としてじゃなく、女として。だから兄妹の関係では見れない。」
「…私も好きだよ。でもね…。」
本当のことを話してくれた。彼女はセックスにトラウマを抱えていた。最初に乱暴にされたこと。そこから怖くなっていつもセックスの匂いがすると怖くなって逃げてしまうこと。…クリスマスに話す話題じゃない(笑)
「そうだったのか…。それはゆっくりでいいよ。俺はセックスがなくても800と一緒にいて楽しいし付き合いたいと思う。」
「本当?ありがとう…。」
こうして、紆余曲折を経て、華麗な非モテコミットを決めて(笑)付き合うこととなりましたとさ。
本当に女心はわからない。何事もやってみないとわからない。